ふと、前を見ると、幸せそうなカップル。



 あの男の子、有雅みたいだな……



 少し低めの背。


 猫っ毛の髪。




 なんて、気づけば有雅のことばかり考えてる。




「有雅……」



 あたし、遊びだったのかな……


 今、有雅は新しく出来た彼女と、前のカップルみたいにイチャついてるのかな……


 あたしのことなんて、考えずに。




 それにしても、前に居る男の子、有雅にそっくりだ……



 いや、もしかして……



 少し早歩きで、男の子に近づく。





「あっ。」




 足を、止めた。





 横顔を見てしまった。



 彼女に優しい笑みを見せる男の子の。




 その顔は、勘違いじゃなくて。



 大好きな、優しい有雅だった。