中学二年の秋。



 あたしは、恋なんてしたことがなかった。




「蛍!!」



「あっ、有雅。」




 あたしには、小森(こもり)有雅という幼なじみがいた。



 すごく仲の良い友達。



 ……それだけだったのに。



「なあ、今日遊ぼーぜ。」



「うん?いいよ。」



 少し有雅の様子がおかしいと思ったけど、とりあえず遊ぶことになった。




 最近忙しくて遊べなかったから、久しぶりだなぁ……



 でも、この日はあたしにとって忘れられない日になった。




「うわぁー、久しぶりの小森家!!」


 有雅の部屋に入ってすぐ、あたしは叫んだ。



「そうだな。ほい、お茶。」


「さんきゅー」



 飲み物を取ってから、部屋に入ってきた有雅から、缶を受け取る。



「なあ、蛍。付き合ってくれない?」