バシッ


 頬に走った痛み。


 何が起こってるのか分からないままいると、温もりに包まれる。


「蛍……なんで、あたしに何も言わなかったの……っ?なんで、そんな姿になってるの……」



 今の、頬の痛みは。


 真心の優しさ。


 真心は、怒ってる?


 きっと、違う。


 あぁ、あたしのことを、本気で心配してくれてて。


 想ってくれてて。


 ずっと、触れてた真心の優しさ。


 親友の偉大さを感じた。


 あたしは、こんなにも心配してくれる親友を泣かせている。


「ごめっ……ごめん……」


 涙が出てきた。



 向き合おう。


 家族もそうだけど、いつも近くにいる友達とも話さないといけない。



 ごめんね、真心。

 頼ってって言われたのに、強がって頼らなくて。


 心配してくれてたのに、今も、何にも言わなくて。


 多分。


 あたし達は似すぎてて。


 お互いの気持ちが分かるからこそ。

 知りすぎるからこそ。

 思いすぎるからこそ、向き合ってなかったんだ。


 でも、そんなのもういらない。


 本気で話さないと。

 本気でぶつからないと、見えないものがあるって分かったから。


 だから、本気で話そう。


 向き合うんだ。


 だって、あたしと真心は、親友だから。