いけっちのことを避けてたのは、守りたかったってこと。


 隣にいるタケルも、驚いている。


 きっと、あたしに言わなかったのも……


 でも、あたしのことを頼ってくれてもいいじゃない。


 あたしに見せてた笑顔は、戦ってた証拠だったんだ。

 苦しいのに笑ってるなんて、辛すぎるよ。

 今も言わないのは、あたしが心配するとか、傷つけるとか、そんなことを考えてたのだろう。



 でもね、違う。

 そんなの違うんだよ、蛍。

 そんなに弱くないもん。



 ムカついてきた。


 あたしは親友で、誰よりも蛍のこと思ってて……


 なのに、本当はなんにも分かってなかった。


 言ってくれるなんて思って、聞こうともしなかった。


 蛍の心の闇に、気づかなかった。


 ……悔しい。


「……」


「真心。」


「……なんで、気づかなかったの……?」


「仕方ないだろ。」


「だって、蛍、明らかに様子おかしかったもん。きっと、あたしが早く聞けば……」


 涙が、こぼれ落ちた。


「あたしは蛍の親友だよ……!」


 なのに、なんで。


 砕けるように、しゃがみこんだあたしをタケルが心配そうに見ている。


「桜井。」