でも、蛍が心配で、デートどころじゃない。


 まだ、校門を出てすぐ。


 やっぱり、タケルにも悪いし、断るべきだったかな。


 そう思ってた時。


「桜井!!」


 いつも、遠くから聞いている声が聞こえた。


「いけっち。」


「はぁ……ちょっといいか?」


 走っていたようで、いけっちは疲れていた。


「うーん……タケル、いい?」


「えっ?いや、いけっちも先生だし。どうぞ、ごゆっくり話して。」


「ありがとう。」


 タケルに了承を取った後、いけっちの方を向く。


「あのさ、昨日小泉は「言った」って言ってたんだけど……」


 なんのことだろう。


「小泉が入院してること、知ってるか?」


 えっ……?


「……入院?」


「あー、やっぱり言ってなかったか。」


 えっ?

 なんで?蛍が?なんで?


「いけっち、どういう……」


「小泉、俺の元カノに……」


 元カノ?

 蛍から、そんなこと聞いたことない。


 それから、色んなことを聞いた。

 あのアザは、殴られたっていうことだったんだ……