あるわけないって分かってる。でも、そう思っちゃう。

 普通の恋でもあること。

 でも一つ違うのは、その後の痛み、辛さ。


 だって、先生が遠すぎる。

 さっきまで、そばに居たのに。


「はぁ……」


 小さくため息をついた。


 毎日こうなるんだ……


 ボーっと先生を見ているだけで、2時限目は終わった。


 また10分休みになった。


 モテるのは、分かっていた。

 だって、先生カッコいいもん。

 でも、


「ありえない。」


 つい、言ってしまった。


「いけっちでしょ?分かる~」


 真心も頷く。


 そう、先生の周りには女子、女子、女子、女子……

とにかく、女子がたくさんいた。



 てか、聞き流しそうになったけど『いけっち』って?


「いけっちってなに?」


「蛍、もしかして聞いてなかったの?池谷先生のことだよ。みんなで決めてたじゃん。」


「へぇー」


「マジで、さっきなにしてたの。」


 真心は呆れていた。


 あたしはいけっちなんて呼びたくない。

 だって、普通の生徒みたいになっちゃう。