茎雄は警察に事情聴取されていた。

 事件を目の前で見ていたから、一部始終伝えた。

 茎雄は巨人の知っている行動と食い違いに気がついた。

 老人を狙っているのは間違いだったようだ。それに人間の頭部しか食べなかった。

 茎雄が自宅に戻ると、部屋の中は静かだった。

「いるのか?」

 と、茎雄が言うが返事はない。不安がよぎった。柿江は巨人を見た直後から気が変になっていた。

 人間が簡単に巨人のエサになるのを目の当たりにして、正気でいられなくなったのだ。

 それに柿江は食事もろくにとっていない。

「大丈夫か?」

 と、部屋が暗かったので、茎雄は電気のスイッチを押した。