「きやがったな!」

 と、柿雄は巨人をにらんだ。

 巨人も仁王立ちしたまま、柿雄をにらんだ。

 茎雄は近くで、恐怖で硬直したまま戦況を見守った。

「おい、こら!」

 と、柿雄が言うが巨人は何も言わない。

「よくも、ママをやってくれたな」

 巨人は発した。言葉ではなく唸っているだけだ。

「お前が憎い!」

 巨人は唸りをやめた。

「どうするか覚えておけよ」

 柿雄と巨人の距離は縮まることはなかった。時間にして数秒だったが、長く感じられた。