「ねえ、今日は大丈夫かしら?」

 と、早赤柿江は夫の茎雄の顔をのぞきこんだ。

「そうねえ……」

 と、茎雄はスマホで、巨人出現情報を確認していた。

「今日は危ない?」

「昨日の夜に、ここから二キロ先の繁華街で巨人が現れ、一人、食べられたらしいから、今日は大丈夫みたい」

 と、茎雄は柿江に言った。この夫婦の年齢は三十四歳で結婚して五年経過したが、まだ子供はいなかった。

 茎雄はサラリーマンをして、柿江は週に三日ほどスーパーのレジでパートをしていた。

 今日は日曜日で二人とも休みだった。遅く起きて、時刻は午後三時になっていた。

 巨人の情報はテレビや新聞ではまったく報道しないので、インターネットの情報が頼りだ。しかし、インターネットの情報が必ずしも合っているかはわからないので、人々は怯えているのだ。