「どうした?」

 と、茎雄が振り返ると、巨人がいた。

 柿江は巨人に手を振った。そして、近づいて行った。

「待て、そいつは柿雄じゃないぞ」

 と、茎雄が言うが、柿江はどんどん近づいて行く。

「大丈夫よ、心配しないで」

 茎雄は両手の荷物を落として、柿江を追った。

 巨人は素早かった。右手を伸ばし、柿江をつかんだ。

「柿江!」

 と、茎雄は叫んだ。

 巨人はあっと言う間に柿江を口まで運び、迷いなどなかった。

 ドスンと、柿江の首なし死体が地面に落ちた。

 巨人は踵を返して行ってしまった。