期待外れで、落ちこむ茎雄だった。考えごとをして、いつの間にか自宅の近くに戻っていた。

「あなた」

 と、柿江の声がしたので、茎雄は立ち止まった。

「どうした?」

「これ、持って」
 柿江は両手に買い物袋を持っていた。中はたくさん入っている。

 茎雄は柿江から両方とも受け取った。

「買い物か」

「そうよ、柿雄がたくさん食べるから、大変なのよ」

「一晩で大きくなるから、食べるはずだ」

「それで警察は?」

「勝手に育てて下さいって」

「よかった」