柿江とタオルで下半身だけ包んでいる高校生くらいの男の子がいた。

「その子は?」

 茎雄は柿江に訊いた。

「あの子よ」

 柿江は少し、正気に戻ったのか、口調ははっきりとしていた。

「でも、三日前は赤ん坊じゃなかったか?」

「この子よ。間違いない」

「さっぱりわからん」

「私だって、わからないわよ!」

「君の名前は?」

 と、茎雄は男の子に訊いた。

 男の子は茎雄の顔をじっと見ているが、言葉を発しなかった。