[短]翼を、ください。ー切なく甘いイブの夜を君とー

「そうかな？僕、そうは思わないよ。


クリスマスは子供のためじゃなくて、大人のための日だと僕は思う。」



「大人の……ための………？」



「うん。こうやって、重く、速く流れてしまう時の中で、僕たちは忘れかけているんだ。


何かを誰かとわけあったり、


誰かの笑顔を見たくて努力することの、喜びを。


それを思いだしてほしくて、神様はクリスマスを作ったんじゃないかな？」



「………え……じゃあ……」



私が口を開くと、彼はうんと頷いた。


「そりゃ、1ホールのケーキを全部美味しく食べられる人もいるかもしれないよ？


けど、ケーキはちょっとだけ食べるから美味しいんだ。


そのためにはわけあわないと。


それにプレゼントを枕下に置くために眠たい目を擦って夜遅くまで起きて


朝に人の笑顔を見るって最高だと思わない？」