[短]翼を、ください。ー切なく甘いイブの夜を君とー

何度見ていても飽きないような彼を前に私はあまりにことが急すぎて頭の回転が滞っていた。




これが私達の最初の出会い。



後から話を聞けば片方の翼に傷を負って天に戻れないんだとか。



まぁあの状況でよくもまぁ驚かずにパニックにもならずにすんなり受け入れてしまえたのだなぁと



今になって感心してしまう。



本当は天使だなんて信じてなかったんだけれど



「ねぇ、ナナ。キャンディ食べたい。」



そう言って私の前で戸棚をガサゴソする彼の背中には真珠のような光沢を持つ大きな翼がくるぶしまでのびている。