[短]翼を、ください。ー切なく甘いイブの夜を君とー

「………す…き……?」



まだ首をかしげる彼に私は笑って



「彼氏に捨てられて、真っ暗な世界をたださ迷っていた私に、向けてくれたその笑顔が


眩しくて、仕方なかった。


私を慰めようと泣いていいからって貸してくれた不格好な背中が


眩しくて、仕方なかった。


ナナって笑いかけてくれるその青い瞳が


眩しくて、仕方なかった。


いつしか、私は


あなたに恋してた。」




「…………ナナ………。」



驚いたようにこちらを見る彼。



分かってる。分かってるよ。そんなこと



結ばれないってことくらい、分かってる。



好きって言葉が禁句なことくらい分かってる。



天使が博愛じゃなきゃダメだってことくらい、


分かってる……んだよ………。