「あら。ちょっと失礼。

……はい、もしもし? え? あなた? 

ええーっ!

そう。あの子も喜ぶわ。

じゃあ、待ってるから早く帰ってきてね。」

お母さんは声のよく通る人だったので、

何を話しているかがよく聞こえてきた。

お母さんが玄関に戻ってくると、女の子がさっそくきいた。

「ママ、どうしたの? 電話、誰から?」

「パパからよ。

単身赴任が終わって、帰って来られることになったんですって。

それも今日! 

びっくりさせようと思ってクリスマスまでナイショにしてたって。

引っ越し屋さんと一緒に、もうすぐ着くらしいわ。」

それをきいた女の子の喜びようといったらなかった。

「うそー! わーい! やったあ!」

全身でそこらじゅうをはねまわっている。