今にも負けそうな小さな勇気を振り絞り、ガクガクと震える足を抑え、彼の前にゆっくり立つ。

うつ向きながら頬を染め上げ、今にも彼に届きそうな心音を隠す様に両手を胸に当て、膨れ上がった熱を口にした。

「ずっと言いたかった事があるの‥‥」

キョトン、とした表情の次に何かを察したか真顔に成っていく。

「えっ!?なっ何かな‥‥」

その目線はしっかりと彼女へ向け、焦りを見せない様に返事する。

「アタシは君の事が‥‥スキ‥‥です‥‥だっ大好きです!」

その瞳に光の粒を浮かばせ、心音の高鳴りと比例した身体は小刻みに震え、その様子に彼は一つ一つと歩み寄る。

「‥‥俺も好き‥‥大好きだ」

震えを閉じ込める様に、精一杯の優しさで包み込む。

温かい幸せに抱かれた彼女は世界一幸せだと感じていた。



動作の描写を追加し、更に一人称(彼女)視点から三人称(二人を観る誰か)視点に改変してみました。
人称の改変は別にしなくとも良かったですが、三人称視点の優れた部分は登場人物全員の動作や心理を簡単に記すのが可能である事。
上手い人は一人称でもしっかりと他人の動作を表現出来るので、一人称が悪い手法とは取らないで下さいね。

そして本題は、人物の特徴は描いていない為、多少は想像が難しいとは思いますが、しっかりと動作の映像は想像出来たはずです。
改変前より動作が鮮明になり、雰囲気まで観えてくる様な気がしますよね。
ガクガク震える足などは彼女の恐怖心を演出していたりと、身体の動作描写が心理描写の助けになる事もある。
これが動作の描写で、時には作品の全体の雰囲気まで背負う場合もある、かなり重要な表現です。