俺を捨てた親だ。

憂菜だけは、引き取った親だ。

俺の存在なんて……。

「憂菜、そろそろ帰れよ!送ってくからさ。」

「はぁ〜い!」

「んぢゃ!憂菜送ってくるわ!」

帰る準備をする憂菜を、確認すると、凌に言った。

「はいよぉ〜。」

「憂菜行くぞ!」

「待ってよぉ〜。」

相変わらずトロい奴だなぁ。俺と似てねぇ。



「でね、そん時あいつがぁ〜。」

車内。
憂菜の口が止まる事は無かった。

「そぉなんだぁ〜」
「マヂか?!」
「うけるな。」
とだけ言う俺。

すると、突然憂菜が静かに話し始めた。

「ねぇ?」

「んっ?」

「お兄ちゃん、ママとパパと会いたいなぁとか思わないの?」

俺を捨てた親と会いたいなんて、思うかよ……。

つか、まだママとパパって呼んでるんだ。

どんな、顔だったっけ。
親父とババァ。

「思わねぇよ。もう、何十年も会ってねぇんだよ?今更会ってもさぁ。だいたい、八年前憂菜だけ引き取って、俺は施設のままだった。つまり、俺は存在すら否定されてんぢゃん?だから、あいつ等も会いたい何か思ってねぇって!」

会いたい訳ねぇだろ。

「だけどね・・・違っ。」

「もう、この話終了な?」