「でも、そのわりには食事が進んでいないね。」
「き、気のせいですよ。」
「やっぱり、イタリア料理じゃなくて和食とかの方が良かった?」
ご飯の問題じゃないのに社長はご飯の問題だと思っている。
違うんです・・・。
昨日のことが気がかりなんです。
そう言えたら苦労はしないけど、胸の中で言葉が渦巻いている。
「あの、それで・・・今回は何の御用ですか?」
一番聞きたかった事を聞こうと思って聞くと社長は思い出したかのようにニコッと笑った。
そして、目の前に小さな箱を差し出した。
「あの、これは・・・?」
意味が分からなくて首を傾げていると社長はクスッと笑って箱を開けた。
そこには・・・・・・。
「ねぇ、柴崎さん。
僕と結婚してくれる?」
結婚指輪があった。


