「でもさ、柚亜って幸せ者だよね。」

「え?」

「手の届くところに好きな人がいるんだから…。」



沙希の言葉の意味がわからなくて私は首を傾げた。



「蓮は…手の届くところになんかいないよ。いつも先に進んでる。」

「だからだよ。先に進んでいるなら追いかけられるじゃない。
いつまでもその場に留まっているだけじゃない。」



沙希の言葉は私には少し重く感じた。


私は蓮を追いかけてもいいのだろうか…。


迷惑だと思われないかな。



「だから、柚亜は胸を張っていいんだよ。
自分が社長の奥さんだ!って思っていればいいんだよ。」

「うん。ありがとう、沙希。」



ニコッと笑って言うと沙希も笑い返した。



「それで、実際には柚亜は社長のこと好きなの?」

「さ、沙希もそれを聞く?」

「当り前よ!実際のところどうなのかはっきりしないと今後どうすればいいのかわからないじゃない。」



そう沙希が熱弁するも私自身どうしていいのか分らないし蓮のことが好きかも分らないのだから答えようがない。