「えっと・・・東野さん。この子は東野さんの・・・・・・。」

「孫です。」




申し訳なさそうに言う東野さん。




「すみません、奥様。
この子が勝手に奥様方のベッドを使ってしまって・・・。」

「い、いえ!ベッドくらい構いませんよ。
あの・・・どうしてこうなったのか教えてもらってもいいですか?」

「はい・・・。この子の母親が今日、風邪を引いてしまいまして・・・でも、父親は一昨日から出張で家にはいなくてこの子の面倒を見て欲しいと母親が言って預かったのですが、奥様方の食事だけ作ってすぐに帰る予定で・・・でも、仕事を終えて自分の家に帰ったらいるはずの孫の姿が見えなくてもしかしたらと思ってこちらに戻ってみたら・・・。」




今のこの状況が出来たらしい・・・。


私は苦笑しながら東野さんを見ると抱きついていた女の子に向かって挨拶をしなさいと言った。




「えー、何で莉那がしないといけないの?こんなおばさんに。」

「こら、莉那!!」




莉那と呼ばれた女の子は私のことがあまり好きではないのか言葉がきつい。


その言葉に対して東野さんは申し訳ありませんと私に頭を下げている。




「なら、私から挨拶をさせてください。
私の名前は柴崎柚亜といいます。よろしくね、莉那ちゃん。」




莉那ちゃんの前に手を差し出すと莉那ちゃんはその手を振り払った。


パシンッと小さな音を立てて振り払われた私の手。