ある物語

早いもので、喫茶店に入ったのは昼だったがすっかり夜になっていた。
「喫茶店に入り浸りすぎよ。」
エリーザは呆れる。
「貴様が一番はしゃいでいたが、な。」
イザヴェルが言うとハルデンは頷く。
「でも、楽しかったです。」
ディーラは微笑んだ。
「マスターがいい人で良かったわね。普通、追い出されるわよ。」
すっかり馴染んだエリノアはエリーザを小突いた。
「でも、エリノアがそんな風に心を許せる友人が出来て嬉しいです。」
「まるで保護者だな。」
「そんなところです。」
イザヴェルにディーラはにっこり笑った。
「みて!」
メリーゼは指差して目を輝かせた。
そこには綺麗なイルミネーションがあった。
「きらきら!きらきら!!」
「ほんとだ!」
「ほう。」
「ふむ。」
「すごいですー!!」
「きれい!」
メリーゼ、エリノア、イザヴェル、ハルデン、ディーラ、エリーザは光の数々に声を上げた。
「メリークリスマス、ね。」
エリノアが言うと、それぞれが微笑む。
(プレゼントは差し詰め“友情”といったところね。)
くすっと笑ってエリノアは考えた。