ある物語

――遠い、遠い昔。
あるところに死ねない悪魔がいた。
その悪魔は何度でも生まれ変わり、時が移ろうのを見ていた。
あるとき、ひとりの女性が現れた。
その女性は桃色の髪をした天使だった。
天使はこう言った。
「あなたをあいしましょう。」
誰からも愛されたことがない悪魔はとても喜んだ。
しかし、天使はやがて死んでしまった。
束の間の愛を置いて。
最後に言った言葉はこうだった。
「私を、殺して。」
必ず来る最期は愛おしい腕で
そう、彼女は願ったのだ。
涙を流しながら微笑み、彼女を殺した。
その腕は、血と涙で染まり、悪魔の慟哭が響いた。
そして悪魔は旅に出た。
永遠の愛を探す旅に。