あたしは、着替えをしようと、Tシャツを脱ぎかけた。

そのとき

―pipi...pipi...―

ふいに、携帯が鳴った。

電話だ。

あたしは、相手を確認せずに、電話に出た。


「もしもし?」

『よ。俺、春馬だけど』

―ブチッ。

奴が何かを話し始める前に電話を切った。


しかし、電話を切ってすぐ
荒々しく窓が開けられた。

「速音てめぇ、俺様の電話切るたぁいい度胸してんじゃねーか!!」

窓枠のサッシに足を掛け、怒鳴り込んでくる春馬。

多少驚いたが、あたしはなるべく冷静を保って返した。


「あんたさぁ、乙女が着替えてるとこ、怒鳴り込んで来んなよ」

「え゙っ」


春馬は目を丸くして、間の抜けた声を上げた。

「ご、ゴメン!」

「別に。気にしてない」

さっきまで他の男に素っ裸見られてたんだから。


けれど、春馬は耳まで真っ赤になっている。

「…春馬?…そんな赤くなんなくても…。
あんたも中三なんだし。 まさか、童貞なんてことないでしょ」

「えっ…」


あたしの言葉に、春馬は過剰に反応した。