「じゃあ、結婚しようか」

ブックラックの整理をしているあやかちゃんは、何も気づいていないみたいだ。


一冊の雑誌を取り、しげしげと表紙を見つめていた。


バックヤードにいる店長も、防犯カメラで見張っていた様子もないようだった。


とりあえず私はほっとし、そしてかっと顔が熱くなった。


柔らかくて、暖かい、唇だった――。