「じゃあ、結婚しようか」

「ごめん。悩ませてたね」


「ううん。勝手に勘違いしてた私が悪いの」


陽平さんは、手にしていた缶ビールをベンチの脇に置いた。


そして、私の肩に手をかけたまま、ぽつり、ぽつりと話し始めた。


「いくみちゃんがいなくなってから、ずっと考えてたんだ――。やっぱり俺には君しかいないよ。手放したくないって、何度も思った」