部屋が燃える、燃えてしまう!
というかその前に私が焼け死ぬ。
アヤカシの三人は大丈夫かもしれないけど、私は人間だから。
死にますよ。いいんですか、あなた方のお妃候補が死ぬんですよ。
「とりあえず黙れ。大丈夫だ、死ぬことはない」
彰さんの言葉だけど、いまこの状況だからか安心できた。
それも束の間、炎が私たちを完全に包んだ。
「ひょええええええ」
「黙れと言っているのがわからんのかそなたは」
怒りを含んだ低い声で言われ、肩が震えた。
さすがの私も大人しくする。
でも、次の瞬間宙に浮いたような気がした。
気のせいかな? そう思って床を見ると、彼の身体が浮いてる。完全に浮いてる。
「彰さん? あの、 浮いてますけど……」
「心配ない。これはアヤカシの間では普通の移動法だ」
そういえば彰さんたちが来たときも、飛んできてたよね。
あのときは、かなり強い風だったけど。
今回はかなり熱い炎だね。なんだかストーブの前に居座ったときみたいな熱さ。
もう少し冷たくならないものなのか。
それに、お妃候補である私が体調悪くなったらどうするの。
……私さっきから自分でお妃候補って言ってない?
間違いない言ってるね。しっかりと記憶に刻まれているし。
気づけば、私たちは空を飛んでいた。
落ちないか不安で叫びそうになったけど、また怒られると思って堪えた。
でも私たち……いや、私の姿は見えないのかな。
彼らはアヤカシだからいいとして、私はどうなんだろう。
見えてたらとんでもない事件になっちゃう。
新聞やら、テレビやらの取材が殺到して……。
『女子中学生、空を飛ぶ』
なんて特集で取り上げられて。
そして私は有名に……。


