時を同じくして、いつかの会議室。

白人の男が
スクリーンに写ったあるニュース番組を
眺めていた。スクリーンには1人の眼鏡の
専門家が映っている。T大学の教授らしい。
先程からアナウンサーの質問に
熱心に答えている。

その様子を見た男は満足気に
青色の目を細めてつぶやいた。

「゛養殖″は成功したよ、父さん…
僕らの″対応策″は成功したんだ。
地球の人口は着実に増えていく。
そして僕らは、新たな答えを手に入れる。
多少の犠牲を払ってでも…。」


その男が席に着くと会議が始まった。
部屋の真ん中には、
13ヵ国ほどの大統領、大臣クラスの人間が
円形のテーブルに座っている。
ちょうど80年前のように。

男は人口増減率を表したグラフが記載された
資料を見つめる。
そして質問を口にした。
「私達の代償はもう払った!
¨あちら¨はどうするつもりだ?」

男が尋ねると会議室がしんと静まりかえった。

男の白人向かいに座っていた
ドイツ人男性は質問にこう答えた。

「今朝、あちらの答えを受け取りました。
不足した分は無事補われた。
これからも関係を築いていきたい、
我々は生きる糧を
この星から得ているのだから、
…とのことです。」