中にはいると、ボーイ達が席に座りながら話をしている。


声を掛けようかと思ったが、辞めた。


「今日、店に来てたよな。テル」


輝の名前が出たことで、あたしの歩みは止まる。


「来てたな。ミライさん、ご指名で」

「あいつ、まだナンバー1なんだろ」

「もう、5年もな」


その話を聞き、輝もこっちの世界に生きる人間なんだと実感する。


それが寂しく思える。


あたしが知っている、輝が変わってしまったように思えたから。


「でも、テルに女が居たとはな」

「ミライさんって、シュウさんと付き合ってると思ってたよ」

「ミライさんって小悪魔ぽいからな」

「俺、ミライさんなら抱いてみてぇ~」


何の話をこの人たちをしてるんだろうか。


あたしは聞き入ってしまった自分がバカバカしく思い、再び歩みを進めた。