そうしろって言うなら、そうしてやる。


お店だって、ここだけじゃないし。


「じゃ、罰金払えばいいんですか?」

「ミライさん」


溝口店長の口調がきつくなる。


「辞めるとか、お金の話をしているんじゃありません」


あたしは溝口店長の言葉を待つ。


「ただ、ボーイは仲間です。ミライさんにその気がなくても本気にする奴らだって居ます。それせいで店で使えなくなるのは困ります。店はキャストだけじゃなく、ボーイも居て成り立ってるんですから」


そこまで言われると、何も言えない。


だって、溝口店長の言い分は最もだから。


「ミライさんのお客さまに勝手にハナさんのことをつけたのは、間違いでした。すいません」


そう言って、頭を下げる溝口店長をカッコいいと思った。