聞いていないのに、話し出すカナちゃん。


「ミライさんはすっごい良い人で、ママのこと助けてくれるんだって」


ハナちゃんのことを助けたことなんて、合っただろうか。


「それでね、すっごいお仕事できて、みんなに信頼されててカッコいいって」

「そんなことないのにね」

「ママは嘘付かないよ?」

「ママのこと、大好きなんだね」

「うん!!」


この頃のあたしも、あんな母親でも大好きだった。


遊びに連れってくれなくても、朝起きた時に母親が居るだけでよかった。


「ママね、あたしがいるから大変なんだよ」

「どうして?」

「あたしが居なかったら、ママは嬉しいのかな?」


あたしは歩みを止めて、カナちゃんの目線を合わせる。