「先輩、どうしたんですか?そんな慌てちゃって」
「え、いや、別に……なにもないよ!」
岡田くんは興味がなさそうに「ふぅーん」と画材を準備し始めた。
「僕は外の風景描いてきますね」
「あ、うん!じゃあ私もそうしようかな」
荷物を机の上に置いて、画材を準備する。
「じゃ、お先に」
岡田くんは画材を持って、美術室を出て行った。
岡田くんがいなくなり、私の画材を準備する音だけが美術室に響く。
今日は顧問の先生は出張だから岡田くんと2人か。
あーあ、部員2人って寂しいな……。
まぁ、美術部があんまり人気ないから仕方ないか……。
「さ、私も行こう」
スケッチブックと絵具を持って美術室を出た。
「どこ描こうかな……」
校舎を出てキョロキョロと周りを見回す。