「エヴァーズマンJr.二等軍曹のチョークによる実験が成功した事で、ナノマシンが実用レベルに達している事が証明された…軍は既に二日前、大量のナノマシン兵器を輸送機に乗せて出発させている」

「何…だと…？」

小川は愕然とする。

人間をディアボに変えるナノマシン兵器。

そんなものをどこへ輸送し、どうしようというのか。

「ソマリアだ」

軍医は言う。

1980年代から続く東アフリカのアフリカの角と呼ばれる地域を領域とする国家、ソマリア連邦共和国での内戦。

過去、国連軍やアメリカ軍といった軍隊が何度も介入しながらも、終わる事なく戦争は続いている。

そこでアメリカ軍は、特殊秘匿保護法案を利用して極秘裏にソマリアの反政府勢力を一網打尽にする作戦を打ち出した。

核や化学兵器、大量殺戮兵器などではない、まだ人類の知らない未知の兵器によって…。

「ナノマシン兵器で反政府勢力を全てディアボ化させ、それをテロによるものと情報操作してしまうんだ…そうすれば最終的には、合法的に反政府勢力を虐殺する事ができる…ディアボに人権などないからな」