「い、いや…」

軍医はたどたどしく答える。

「彼はナノマシンを投与されて、まだ48時間程度だ…私が持っているワクチンを投与すれば、ナノマシンは体内で無害の状態まで消滅される」

「助かるんだな?」

小川の言葉に、頷く軍医。

「……」

俯き、静かに息を吐き、マットは安堵する。

助かる。

ディアボに成り下がって仲間や一般人を殺害するような事態は避けられる。

その事に、全身の力が抜けるようだった。