鉄の救世主Ⅲ(くろがねのメシアⅢ)

鮮やかだ。

ここまで兵士に発見される事なく、また何のトラブルもなく潜入任務を遂行している。

これ程の技能を有する隊員が戦術自衛隊にいたとは。

(成程…一部隊…しかも分隊単位でARMOUR社を壊滅させる訳だ…)

小川と小暮に追従しつつ、マットはその能力に舌を巻いていた。

鉄壁と思っていた自分の基地。

そこへ、こうもあっさりと潜入されてしまうとは。

もし、またこの基地に兵士として復帰できるのならば、是非とも基地の警備の厳重化を進言しなければならない。

そんな事を考えていたマットに。

『伏せろ』

小川がハンドシグナルを送る。

咄嗟に身を低くするマット。

…巡回の兵士が、ゆっくりと歩いていた。