鉄の救世主Ⅲ(くろがねのメシアⅢ)

貨物室にも見回りが来ないとも限らない。

念の為、物陰に身を隠して離陸を待つ。

「……」

マットは、顔色が悪かった。

別に小川達の命令違反を心配している訳ではない。

いや、命令違反を犯してまで体を張ってくれる彼らには感謝しているし、彼らが処罰されはしないか心配ではあるが。

「マットさん…?」

豊田が彼の額に手を当てる。

「やだ…熱があるじゃないですか」

「大丈夫…微熱程度だ…」

マットが軽く首を振る。

とはいえ、横田飛行場に着いた頃から体調は芳しくなかった。

クリスマスのこの時期だ、寒さで体調を崩す事もある。

が、マットの経験上、この体調不良は風邪などによるものではなかった。