仲間の死を悼むマット。

その姿にディアボの面影はない。

生死を共にし、生き抜いてきた戦友を偲ぶ兵士の横顔だった。

ますますマットがディアボとは思えない。

しかし彼の眼に、決して拭い去る事のできない確固たるディアボの証拠があるのも事実。

「マット、一から説明してくれ」

小川は彼の顔を見る。

「その眼は、最初から紅かった訳ではないんだな?」

「ああ…少なくとも一時間前…このビルに突入する時は俺を含めたチョークの全員が、普通の瞳だった」

「……」

小川はしばし黙考する。