火を噴く89式小銃。

命中した5.56ミリ弾はマットに風穴を開け、砕け散らせた。

…小川の89式小銃が撃ち抜いたのは、窓ガラスに映ったマットの姿。

すぐに小川は無線を手に取る。

「小川分隊より全部隊へ。ディアボの最後の一体は、4階の窓ガラスを突き破って屋外へ逃走した。負傷しており、手負いで非常に危険な状態だ。至急非常線を張り、ディアボの処理に当たれ。繰り返す、全部隊至急非常線を張り、ディアボの処理に当たれ」

そんな連絡を入れ、何食わぬ顔をして無線を切る小川。

「堅物そうな顔して、やるじゃねぇか小川」

ニヤニヤ笑う小暮に。

「何の事か自分には分かりかねます」

小川は無表情で言ってのけた。