『危険性はない』

何故か谷口はそう思った。

このディアボは、撃ってこないと思った。

確かに手にはM16A2を所持しているし、先程まで何度も発砲してきた。

しかし、このディアボはもう撃ってこない。

何となく直感で、そんな風に感じた。

迷わず89式小銃を拾いに行こうとするが。

「動くな!」

そのディアボ…マットは銃口を谷口に向ける。

「動かないでくれ…騒いだり仲間を呼んだりしなければ、危害は加えない」

「……」

やはりこのディアボはおかしい。

好戦的で凶暴、敵と遭遇すれば何をおいても殺しにかかる筈のディアボが、『危害は加えない』などと…。