鉄の救世主Ⅲ（くろがねのメシアⅢ）

マットの父親もまた、アメリカ軍第75レンジャー連隊の所属だった。

ベトナム戦争以来、アメリカ軍が直面した最も激しい戦闘といわれる93年の『モガディシュの戦闘』を生き残った兵士。

マットは父を尊敬し、志を受け継ぐべく第75レンジャー連隊に入隊した。

レンジャー連隊はジョージア州フォート・ベニングの連隊本部で、リーダーシップ訓練や長距離偵察訓練を施される。

レンジャー部隊に志願できるのは『空挺資格』を持つ陸軍兵のみである。

将校はROP（レンジャー基礎指導プログラム）を、下士官はRIP（レンジャー教化プログラム）をそれぞれ受ける事になる。

ここで志願者の肉体と精神両面の適性が評価される。

ROPまたはRIPに合格したら、兵士はレンジャー訓練生としてレンジャー大隊に配属され、そこでレンジャー式戦闘の基礎を学ぶ。

これがレンジャー学校で過酷な2ヶ月のリーダーシップ課程で、通常は大隊に配属されて9ヶ月から12ヶ月後に送られる。

訓練課程には山岳戦や森林戦の訓練も含まれており、ROPやRIPの合格者がこの課程で脱落する事は殆どないが、もしも脱落した者は原隊に戻される事になる。

合格した者はレンジャー資格者である事を示す、『レンジャー肩章』を与えられる。