そんな中でも、訓練によって培われたレンジャーとしての能力は些かも衰えない。

微かな物音。

衣擦れの音が聞こえた。

通路の先に敵がいる。

マットは先程リロードの際に放棄せずに取っておいた空の弾倉を弾薬ポーチから出し、通路の奥へと投げる。

コンクリートの床に落ち、音を立てて滑っていく弾倉。

その音に反応した敵…戦術自衛隊の隊員が、反射的に発砲する!

暗闇の中、発砲する事によって銃口の発火炎(マズルフラッシュ)が周囲を照らす。

それはマットにとって、暗闇の中でも敵の位置を捕捉するいい目印だった。

その位置を狙って、的確に射撃!

「ぐぁっ!」

足を撃たれた隊員は、悲鳴を上げてその場に倒れた。