先程の乱戦の最中に、AN/PSQ-20暗視装置を紛失してしまっていた。

軽く舌打ちして、マットはM16A2を手に歩き出す。

暗視装置がないという事は、視界が確保できないという事だ。

暗闇の中、敵を視認できない状態で行動しなければならない。

先程まで暗視装置に頼っていた分、夜目が利かない。

その事がマットに不安を覚えさせた。

息を潜め、上がる心拍数を押さえ込むように、努めて冷静さを保ちつつ進む。

視界不良、仲間は全員失い、援軍も来ない。

最悪の状況だった。