鉄の救世主Ⅲ（くろがねのメシアⅢ）

安価で数多く使われる小型のものは、敵兵の即死による殺害ではなく負傷による無力化を目的としている。

敵兵一人の即死はそのまま兵力の一減であるのに対し、一名が重傷を負えば看護や後送にも人員が割かれる為、前線兵力は二以上減となり、また苦痛を訴え続ける味方兵の存在は戦意維持を困難にする要素となる。

また広く流布した話に『小型地雷に子供の興味を引くぬいぐるみや玩具のようなものを取り付けてばら撒き、触れた子供の手足や生命を奪う』とするものがある。

この話が真実だとすれば、こんな非人道的な事はない。

戦場における地雷原の突破の方法としても、敵の捕虜や一般市民、懲罰部隊に送られた自軍将兵を背後から銃で脅し、部隊の先頭を歩かせるという方法がある。

第二次世界大戦の東部戦線では独ソ両軍で見られた光景である。

作る側も、埋設する側も、突破する側も、地雷には人命を無視した逸話が数多くある。