通りに放置された、乗り捨てられた数々の車両。

それを遮蔽物にして、こちらを撃ってくる影がいる。

AK-74で武装したディアボ。

いつの間にあんなディアボの部隊がニューヨークに展開したのか。

あれ程の数のディアボがアメリカ国内に侵入すれば、もっと早くに軍が対応出来ていた筈。

「奴らもソマリアにばら撒かれたナノマシン兵器の犠牲者なのかもな!」

車両の陰から反撃しながら、ジェフが言う。

侵入してきたのではなく、国内の人間がディアボ化したという事か。

だとすれば、今戦っているディアボも、元はマットやジェフと同じアメリカ人なのかもしれない。

同じアメリカ人同士で殺し合いをしているという事か。

同じアメリカ人同士で戦争をしているという事か。

「考えるな、マット」

空になった弾倉をリロードしながら言うジェフ。

「相手はもう人間じゃない。情に流されると死ぬのはお前だぞ」