鉄の救世主Ⅲ(くろがねのメシアⅢ)

「間もなくソマリアから、レンジャーのマット・エヴァーズマンJr.二等軍曹が戻ってくる。サンダース一等軍曹は、彼とバディを組んで任務に当たってくれ」

その名に、作戦会議に参加していた兵士からどよめきの声が上がった。

ソマリアへのナノマシン兵器輸送計画を突き止めたレンジャーの隊員。

戦術自衛隊の小川分隊と共にソマリアのモガディシュに乗り込み、市街を包囲したディアボ制圧に一役買ったという。

いまやマットは、アメリカ軍の間では英雄だった。

「光栄です」

呟きながら、ジェフは腕を組む。

勿論ジェフの耳にも、マットの活躍は届いている。

が、気後れはしない。

英雄だか何だか知らないが、彼だってデルタだ。

ライバル視はしても譲る気は毛頭ない。