それでは、この建物に潜伏しているという武器密売組織の副官達はどこに行ったのか。

まさかこちらの強襲が事前に漏れていた為、逃げたのではないか。

「それこそまさか、だ。情報漏洩なんて有り得ない」

否定するステビンス。

チョークの隊員達は戸惑いを隠せない。

敵がいない以上、一体どうすればいいのか。

皆、リーダーであるマットの指示を待っている。

と、その時だった。

「……?」

マット達のいる建物に近づいてくるヘリのローター音。

テロ対策部隊の迎えのヘリが来たのだろうか。

そう思って窓から外を見たスミスの目に映ったのは、オリーブドラブに配色されたCH-47Jチヌーク。

タンデムローター式の大型輸送用ヘリコプターだ。