しばしの沈黙。

だが、誰一人としてマットの提案に異議を唱えるものはいない。

「どうせこのままでも蜂の巣にされる…可能性のある方に、俺は賭けてみたい」

血塗れの顔をガーゼで押さえながら、三浦が言った。

「よし…それじゃあいくぞ」

マットがスモークを焚き、それを建物の窓から外に投げる。

瞬く間に立ち込める大量の煙。

上空からでも視認できるであろう煙の量だった。

後はこれを、AC-130Hが敵と見るか味方と見るか。

ややあって。

「!!」

凄まじい攻撃が天から降り注いだ!

地面を叩く40ミリ機関砲、爆炎を上げる105ミリ榴弾砲。

そのどれもが、小川分隊の篭城している建物を避け、ディアボ達の陣取る建物を爆発の炎に包み込んでいく!

周囲を包囲されていたのが嘘のように、ディアボ達はたった一機の航空機によって殲滅させられていった。

篭城する建物の窓から見える光景。

それは正に地獄の業火そのものであった。