「そうか」

小川がその話からヒントを得る。

肉眼でも確認できる目印を地上で示せば、通信妨害の中でも航空支援を受けられる。

「何か、何か目印になるものはないか」

小川の言葉に。

「俺がスモーク(発炎筒)を持っている、コイツを目印にすれば」

マットがポーチからスモークを取り出した。

これならばAC-130Hからでも辛うじて見える筈。

しかし。

「もし航空機が、スモークの焚かれている位置を『味方』ではなく『敵』の位置だと誤認したら?マットの言うモガディシュの話を知っているとは限らないぜ?」

小暮が言う。

確かにそうだ。

目印を確認したとはいえ、それが敵か味方かは通信できなければ分からない。

失敗すれば、友軍からの航空爆撃で殺される事になってしまう。

だが。

「みんな…」

マットは小川分隊の隊員達を見渡す。

「俺を、信じてくれるか…?」