鉄の救世主Ⅲ(くろがねのメシアⅢ)

「よし、いくぞ」

政府軍が準備したUH-1Cヘリコプターに乗り込む小川分隊。

M134ミニガンとロケット砲を装備したヘリで、空中からの援護もできる。

まずはこのヘリで空中からの処理を行う。

ここからは実戦だ。

今までの人間の兵士のように、ただ手足を撃って無力化すれば済む相手ではない。

手を失っても、足を失っても、敵を殺そうと迫ってくる殺戮本能の塊、ディアボだ。

極度の緊張でかたくなるマットに。

「マット」

谷口が話しかける。

「ディアボと戦闘した事は?」

「……ない、これが初めてだ」

首を横に振るマット。

「…大丈夫だ」

谷口は彼の肩を叩いた。

「自分の腕を信じろ、お前なら戦える…それにお前は一人じゃない」

小暮も、豊田も、三浦も麗華も。

皆、マットを見ていた。

「誰一人残さず連れ帰る」