いまだ見えない今回のナノマシンテロの黒幕。

しかし今は黒幕を探る事より、目の前のディアボによるモガディシュ侵攻の制圧を優先すべきだ。

「小川分隊長!」

麗華が駆けて来る。

「政府軍からヘリを一機借りる事ができました」

「よし」

小川は隊員達の顔を見る。

「俺達はヘリでモガディシュ上空まで向かい、市街の様子を確認、安全を確保でき次第、降下してディアボの処理を行う。恐らく市内には民間人も多くいる。誤射に気をつけろ」

「……」

小川の言葉を聞きながら、マットは表情を強張らせる。

モガディシュ。

93年のソマリア内戦、モガディシュの戦闘の舞台となった街。

父のマット・エヴァーズマン二等軍曹が、命辛々生還した街。

何の因果か、マットは同じ街で任務を遂行する事になる。